きっかけは、大牟田愛
―今回のツアーはいつ企画されたのでしょうか?
鯉谷:最初に打ち合わせたのは今年の2月からです。
小宮:スタートのきっかけは鯉谷部長と、当時の私の上司だった前部長の高田さんが高校の同級生だったことです。4月で高田さんは異動してしまったのですが、3月までに大牟田市も巻き込んで、実施に向けて動いていました。
鯉谷:高田君とは、高校時代から今までずっと付き合いがある友人です。今の職場で出身地である大牟田が担当範囲となり、自治体と組んだイベントや列車の運行にも携わっていたので、大牟田で何かできないかと思っていました。
もちろん、子どもの頃から大牟田駅で西鉄さんとJRが隣り合っていたのは知っていましたので、博多―大牟田―天神を列車でつないで、大牟田で降りて観光するような形にすれば面白いんじゃないかと。
それを当時観光列車の担当だった高田君に話したのがはじまりですね。
―その段階でプランの骨子がほぼ固まっていたのですね。
鯉谷:会社同士のやりとりというより、個人同士の思いで「やるか」「おう、やろう」という感じで、最初からやると決めて始めた形ですね。そこに大牟田市さんにも入っていただいて、また西鉄さんでご担当いただくことになった小宮課長も大牟田ご出身ということで、とんとん拍子に進みました。
―大牟田市さんもご一緒に取り組んでいらっしゃるのですね。どのような形でご協力いただいているのですか?
小宮:大牟田市での周遊に関し、関係各所やイベントの仲介役として入っていただいている形ですね。おかげで、いろいろなつながりが生まれています。
鯉谷:お出迎えの際も、大蛇山に加えて大牟田市のマスコットキャラクター「ジャー坊」にもご出演いただき、お土産を配っていただけると聞いています。
災害を越えて大牟田を盛り上げたいという思い
―この半年、大牟田は新型コロナウイルスや水害で大きな打撃を受けていますが、被災地を元気づけることにつながるのではないでしょうか?
鯉谷:企画が始まったのは2月でしたので、当初は元気づけるというような意図はありませんでした。しかし、今回ご協力いただく方々の中にも、7月の豪雨で被害を受けられた方が多くいらっしゃいます。
炭鉱電車を見学させていただく三井化学さんは、駅・列車・ポイントなど設備全体が浸水してしまいましたが、それでも見学を引き受けていただいています。
また、今回大牟田駅で大蛇山を出してお出迎えしていただく童龍会の皆様や、大牟田市の職員の皆様も、本当に厳しい状況の中で多大な協力をいただいています。ですから、被災地を元気づけるというよりは、こちらが力をもらっているというのが正直なところです。
だからこそ、私たちJRと西鉄さんとで、全力で大牟田を盛り上げたいと思っています。
―三井化学さんはどのような流れでご協力いただくことになったのですか?
小宮:今回、両社の観光列車がコラボすることから、電車つながりで、せっかくなら炭鉱電車も見れたらいいよね、というのが始まりです。趣旨をご説明すると、快くご協力いただきました。炭鉱電車は大牟田のまちならではの独特の風景だったので、ぜひともご紹介したくて…
鯉谷:炭鉱電車は鉄道好きの方には有名なんです。一番古い電気機関車は1915年製で、5月に廃止されるまでは現役で動く日本最古の機関車だったんですよ。今回特別に見られるから、ということで申し込んでいただいた方もいると思います。